RE:FACTORYのお客様でデザイン事務所を営む大井さんが、
弊社建築士 奥河内の家づくりをレポートするスペシャルコンテンツ!
RE:FACTORYの設計を手掛ける建築士 奥河内さんが
家族のために手掛ける家づくり。
物件探しからインテリアのことまで、
そこには建築のプロならではの参考にしたいヒントがたくさんありました。
11
2021.10.01
内装の施工を終えた9月某日、奥河内邸に家具が到着しました。リビングやダイニング、オープンエアリビングなどの主要なスペースのテーブルや椅子が続々と運び込まれ、ついにインテリアの全貌が見えてきました。
奥河内さんが新しい自宅に選んだのは、Cassina(カッシーナ)で揃えた名作と呼ばれる家具たち。まずはダイニングから見ていきましょう。
皆が食事を共にするメインテーブルは、20世紀建築の巨匠であるル・コルビュジエが手がけた LC6。黒い大理石が印象的な天板は、ダイニングの床タイルに合わせてコーディネート。日本ではカラー展開がなかったため、特注でしつらえたこだわりのテーブルです。それを囲む4脚の椅子のうち、2脚は 055 CAPITOL COMPLEX CHAIR。こちらはカッシーナがピエール・ジャンヌレへのオマージュとして製品化した名作チェアです。世界文化遺産にも登録されたインド北部にあるチャンディガールの都市開発の際に、ジャンヌレが設計したキャピトル・コンプレックスで使用されている代表的な椅子のひとつ。どっしりとした木のフレームに籐が編み込まれた座面と背もたれが印象的です。
もう2脚は、COMPLEX UNIVERSAL FURNITURE SUPPLYから発売されているドワーフチェア。イギリスのデザイナーRobin Day (ロビン・デイ) がデザインしたHillestack chairをリデザインしたモデルです。背もたれを留めている真鍮を削って作られたネジがクラシカルなアクセント。オーセンティックなダイニング全体のインテリアにもさりげなくマッチしています。
ダイニングテーブルに合わせた2種の椅子はどちらも逆V字型の脚で、テーブルの脚も含め色はブラックにこだわりました。また、脚元の形や材質を揃え、タイルの色味と合わせることによって、インテリアに統一感を持たせています。
続いてリビングの家具も見ていきましょう。こちらも名だたる名作家具たちをダイニングとはまた違った温かみのある雰囲気でコーディネートしています。まずリビングに入って一番に目がいくのは、ゆったりとした3人がけのソファ、ル・コルビュジエのLC5です。隣の一人がけのソファは、ダイニングでも使用しているキャピトルコンプレックスチェアにアームの付いた形。よりくつろげるラウンジチェアで、光沢のあるベルベッド生地が上質な空間に引き立ちます。
ソファの中央にはシャルロット・ペリアンのメキシク・テーブルが置かれています。シャルロット・ペリアンといえば、前述のジャンヌレとともにコルビュジエの重要なパートナーとして多くの家具を生み出した20世紀を代表する女性デザイナーです。その代表作のひとつともいえるこちらのテーブルは、丸みのあるぽってりとした天板に極細の3本脚がどこかアンバランスで可愛らしく、リビングをよりリラックスしたムードに。床の色味とテーブルの色味を揃えることで、空間に広がりをもたらしています。
インテリアを上手にまとめるコツとして奥河内さんがこだわったのは、色や素材の統一感。まず壁や床の色との相性を見つつ、同空間に置く家具同士もいくつかの共通点を持たせることで、全体をすっきりとまとめているようです。
そしてさらに、インテリアに奥行きをもたらす上級テクニックとして、次回は照明選びに焦点を当ててみたいと思います。乞うご期待!
次回は「オープンエアリビングのアイデアと1ランク上の照明術」について