RE:FACTORYのお客様でデザイン事務所を営む大井さんが、
弊社建築士 奥河内の家づくりをレポートするスペシャルコンテンツ!

RE:FACTORYの設計を手掛ける建築士 奥河内さんが
家族のために手掛ける家づくり。
物件探しからインテリアのことまで、
そこには建築のプロならではの参考にしたいヒントがたくさんありました。

7

奥河内邸、施工が始まる

2021.08.27

4月某日、いよいよ奥河内邸の施工が始まりました。リノベーションはまず解体から進んでいきます。大胆に壁を壊したり床を剥いだりしながら、みるみるうちにリビングやキッチンはそれぞれがひとつの箱のような空間に。使い込まれていた古いシステムキッチンなどの設備も運び出され、あっという間に家の中は空っぽになっていきます。配管や躯体がむきだしになり、がらんとした室内を見渡すといよいよ家づくりが始まったのだなとドキドキしてきました。

  • 【ダイニング・キッチン/BEFORE】キッチンとダイニングスペースは壁で仕切られ、部分的に開口のあるカウンター式のつくり。

  • 【ダイニング・キッチン/解体後】仕切りの壁やシステムキッチンなどの設備を取り払い、シンプルな状態に。空間がみるみる姿を変えていきます。

室内の施工と一緒に外構の工事も始まりました。玄関前のタイルをピンコロ石に張り替え壁面にはモルタルを施し、長い年月を経て古ぼけた様子だった玄関がリフレッシュしていきます。大きく様変わりする玄関ですが、重厚感のあるウッドを使った既存の玄関扉はあえてそのまま活かすことに。こうして奥河内邸の外観は新しい中にも古き良き味わいを残しつつ、見違えるほどスタイリッシュな姿へと変わっていきます。

  • 【玄関前/BEFORE】玄関口には門と車庫用の柵。傷みはそれほどないものの、若干年季を感じる佇まい。

  • 【玄関前/外構工事】オーセンティックな雰囲気の玄関扉は塗装し直してそのまま活かします。壁面のタイルはモルタル塗装でぐっと洗練された印象に。

  • 【玄関前/外構工事】地面のタイルは石畳のような雰囲気のピンコロ石に全面張り替え。壁面塗装やタイル張り替えにより外観の印象も一変していきます。

解体が終わるとさっそく大工仕事が始まりました。スケルトン状態になった部屋は、新たな間取りに合わせて壁を新設したり、キッチンなどの水廻りの配置換えによる給排水設備の工事など職人さんが代わる代わる現場に訪れ作業をしていきます。

古い一軒家には珍しくないことだそうですが、この家には設計図が残っていなかったため、解体してみないと分からない部分もあったようです。壁や天井をはいでみると案の定、想定していなかった柱や筋交いが出てきたりして、そこで設計プランの変更をよぎなくされるというハプニングも。そのたびに大工さんたちも臨機応変に対応していく鮮やかなチームワークを垣間見る現場でした。

後日、奥河内さんに連れられて、まだ施工途中の室内を内覧させてもらいました。キッチンとリビングを隔てる扉の横窓には、あらわになった筋交いが斜めにすっと顔を出していました。本来であれば壁の裏側で家の支えとなっていた柱たちがきれいに磨き上げられ、ひょっこりとお目見え。その様子に何故だか愛着を感じてしまいました。「ここに扉をつけようと思って壁を剥いだら、筋交いが出てきたんよぉ!」と説明してくれる奥河内さんの声もこころなしか楽しそう。ちょっとした予想外なできごとがあるからこそ、リノベーションは面白いのかもしれませんね。実際、筋交いが出てきたことによってデザイン性が損なわれたという印象はまるでなく、むしろ意匠によって家づくりのエピソードが刻まれ、またひとつ、そこに魅力が加わったような気さえしました。

  • 【2F/解体】解体時に出現した筋交い(斜めの柱)。筋交いは構造上取り除くことができないため設計プランを微修正しながら職人さんも臨機応変に対応。

  • 【2F/AFTER】筋交いの斜めのラインが覗くガラス部分。筋交いもデザインの一部のように見事に収まり、この家ならではの風景に仕上がりました。

次回は「建具やタイル、色味など。インテリアに調和するパーツの取り入れ方って?」
戸建てリノベの施工現場とその経過を詳しくリポート!

記事一覧

広島のリノベーション RE:FACTORY(アールイーファクトリー)のコラム