RE:FACTORYのお客様でデザイン事務所を営む大井さんが、
弊社建築士 奥河内の家づくりをレポートするスペシャルコンテンツ!

RE:FACTORYの設計を手掛ける建築士 奥河内さんが
家族のために手掛ける家づくり。
物件探しからインテリアのことまで、
そこには建築のプロならではの参考にしたいヒントがたくさんありました。

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具体的なプラン -理想を設計図に落とし込む-

2021.08.20

さて、晴れて物件が決まった奥河内さんは、さっそく具体的な設計プランを練っている様子。これまで住んでいたマンションでの生活で便利だったこと、こうだったらもっとこれからの生活にフィットするかもしれないなど、過去の経験も考慮しつつ、頭の中にある様々な点と点を結び合わせて設計図に落とし込んでいきます。一番大切にしたいのは、家族一緒に楽しめる空間であること。コロナ禍により家で過ごすことが増え、大好きでよく出かけていた外食や気の置けない友人との食事会なども気づけば足が遠のいていました。いつしか家で過ごすことが増え、家族で食卓を囲むことが一番の安らぎの時間に。家族でのゆったりとした時間も悪くないなと、制約の中から気づくこともあったそうです。

必然的に、新しい家のプランではダイニングやリビングなどの家族団欒スペースをいかに快適に過ごせるものにするかが重要なポイントとなってきたようです。奥河内さんから事前にそんなコンセプトを聞いていた筆者は、こんなふうに勝手に妄想していました。“贅沢なアイランドキッチンを主役にしたダイニングがあって、その先にはひと続きになる広々としたリビングスペース、3人がゆったりと座れるソファを置いて……” と。

ですから、物件の間取り図を見せてもらったときには少しびっくりしました。なぜならこの物件、キッチンダイニングとリビングが別々の部屋として区切られていたのです。それぞれの部屋も取り立てて広くないし、いたって普通の間取り。この空間が今回のリノベーションの最大ポイントになるなんて、奥河内さんは一体どのようなプランを練られたのでしょう?

  • 分断されたリビングとダイニングキッチン。奥河内さんの理想はこれらの空間がつながっていること…果たしてどう解決するのでしょうか!?

分断されたリビングとダイニング。家族が今まで以上におうち時間を楽しめるようなスペースとして、奥河内さんはある部分に着目しました。リビングとダイニングがある2階には、それぞれの部屋に面した広めのバルコニーがあったのです。

このバルコニーをダイニングの延長としてタイルの床でデザイン的に緩やかに繋げ、接するリビングとも行き来しやすいような空間に設えようと考えました。家族団欒のスペースが通常のダイニング、リビングにプラスされ、さらにもうひとつのオープンエアリビングが加わるイメージです。バルコニーには屋外用のソファやテーブルを置き、シェードを張ることで日よけ対策を。開放感のあるオープンエアリビングができることで、室内では味わえない楽しみやくつろぎの場となりそうです。キッチンで作ったお料理もアツアツのまま運ぶことができ、バルコニーでの食事も増えるだろうし、息子さんの外遊びもキッチンやリビングから見守ることができます。プール遊びや絵の具を使った豪快なお絵描きなど遊び方の幅もぐんと広がりそう! 友人を呼んでバーベキューや、ちょっとした日曜大工も家族の気配を感じながらできるなんて、考えただけでワクワクしますね。いたって普通の昔ながらのリビングとダイニングは、まさに家族の笑顔が目に浮かぶ間取りへと変貌を遂げたのです。

  • 【2F】バルコニーとダイニングの床を同じタイルで揃え、屋外と室内ををひと続きとして捉える眼から鱗の発想。分断されていた空間にぐっと一体感が生まれます。

  • 【1F】ユニットバスから完全オリジナルのバスルームと洗面室にリノベーション。飽きのこない、タイル張りのホテルライクな上質空間へと生まれ変わります。

  • 【3F】階段・廊下の床や壁は2F同様ナラ材に張り替え、間取りは既存のまま活かした寝室フロア。主寝室は家族が増れば壁を付けて2部屋に分けることも可能。

他にも生活導線の構築も重要。3階建ての家屋なので、各フロアへの移動はなるべく少なくしたいところです。家事のメインとなるキッチン横のパントリー(食品庫のこと)には洗濯機置き場を新設し、移動が少なくなる工夫を施しています。そのすぐ側には、身支度を整えるための鏡を設え、慌ただしい平日の朝も家事を進めながら手早く支度ができるように導線を確保。隣接するコンパクトな洗面台にもパントリーと扉で繋がっているため、インテリアを損なう細々とした雑貨は人目に触れることなく収納が可能です。パントリー自体がその域を超え家事導線の要として活用されているなんて、素晴らしいアイデアですね。そこには細部まで「より暮らしやすく、美しく」という理想を叶える設計が施されていました。

次回は「いよいよ動き出した家づくり。 - 奥河内邸、施工が始まる」
戸建てリノベの施工現場とその経過を詳しくリポート!

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